先日街に出た際に夕食をどうしようかという話しになったのですが、帰ってから作るのも面倒だという有りがちな流れになり、たまには三越の地下で惣菜でも買って帰りましょうということに。
しかし、あれやこれやと見てまわるうちに、なんか買って帰るのも面倒だという、これまたお決まりのパターンに。外食を決裁されるまで、いちいち段階を踏まなければならないのであります。
散々惣菜を見てまわったせいで、すでに口もお腹も準備は万全です。もう三越の外へ出るのも面倒だと思っていたところ、こんなメニューが目に留まりました。ほほ~親子丼ですか。
「三和」という鶏肉屋さんのイートインですが、通路沿いにカウンターがあるだけの簡易なもので、食べている後ろをどかどか人が通るという、なかなか素敵なオープンレイアウトです。
しかし、恥ずかしさよりも食欲が上回っていたせいか、意外にも即刻決定。以前に藤崎の地下で「天松」という天ぷら屋さんのイートインで食べた際に、なかなか美味しくて価格的にもお得だったという、デパ地下のイートインに対しての好印象が記憶に残っていたせいかもしれません。
さて、親子丼のメニューは三種類ですが、「鶏 三和」は元々名古屋コーチンの卸しだそうですから、せっかくなのでそれをいただくことにしましょう。はたして普通の親子丼との違いは?
注文を済ませた後、ふとカウンター上の小さな缶に詰め込まれた七味唐がらしの小袋に目が。
むむむ。「八幡屋磯五郎」という名前が書いてありますが、なにやらただ者ではない雰囲気。もうこの名前を聞いただけで、おぬし、やるな?と言いたくなりますが、いったい何者なのでしょう。
あまりにも気になったので調べてみたところ、日本の七味唐辛子商における三大老舗の一つなのだそうで、長野市に本社を置く創業1730年代という老舗の七味唐辛子店でした。
ほどなく出てきた熱々の親子丼。おぉ!いくつもの鶏肉が、お約束の半熟状態になった卵の毛布に包まれています。これはなかなか食欲をそそる面持ちでさっそく箸を手にしたのですが、チョッと待った。お側でお待ちの八幡屋磯五郎氏にご登場いただかなければなりません。
そしていよいよ、礒五郎氏の志しが舞い降りた親子丼を夢中で口にほお張るのみ。
うんまい!
親子丼って、美味しいですね~。正直なところ、残念ながら私のバカ舌では名古屋コーチンの味や風味はよくわかりませんでしたが、食感、特に噛み応えは明らかに違うようです。以前に秋田でいただいた比内地鶏のように、これは一度塩焼きでも食べてみたいものです。
日本の代表的な食文化である「丼」ブラザーズのなかでも、多くの人に愛されている親子丼。丼モノや味噌汁をいただいた後には必ず、あぁ、日本人で良かったと感じてしまうのでした。