秋の郷土料理 はらこ飯を御膳でいただく幸せ

はらこ飯を食べたいなぁ。先月あたりから、カミさんが小さい声で独り言を言うようになりました。

あ~あ。はらこ飯をたべたいなぁ。もう10月かぁ。今が旬だしなぁ。先月の末になって声を大にして独り言を言うようになったわけですが、亘理町までなかなか食べに行く機会もなく、残念ながら聞き流すしかありませんでした。ところがチャンスは突然やってくるものです。一年ぶりのはらこ飯。

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例によって義理の母から買い物の手伝いを仰せつかった昨日の夕方。この時間だと、おそらく夕食を誘われるかもしれないね。お~!はらこ飯をたべたいなぁ。今度は独り言ではなく、カミさんが私に向かって訴えかけています。いやいや、買い物の後に亘理町まで行くのはしんどいなぁ。仙台市内のどこかで食べる?どこ?わかんない。義理の母を迎えに行く途中で打ち合わせが展開されるのです。

青葉区本町の「あら浜」か、エスパル地下の和食店あたりかなぁと考えていたところ、あのお店を思い出しました。あ!ほら!花の膳は!2ヶ月ほど前に「丸ごと一尾うな重」で驚かされたお店です。

はらこ飯はないんじゃない?カミさんは否定します。い~や、やってるな。私の直感です。じゃ調べてみる。そう言いながら買ったばかりのタブレットで調べ始めるカミさん。ほら、やっぱり花の膳のホームページに載ってないよ。いや、やってるな。季節の献立を更新するほどマメじゃないってことだよ、おそらく。やってないってば。いや、たぶんやってるから、電話して聞いてみようか?うん。

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義理の母の買い物も無事に終わり、想定通りにお誘いを受けた夕食は、満場一致ではらこ飯に決定。

電話での問い合わせによると、セットものも単品も用意しているらしい花の膳。ほらね。宮城の和食処たるや、この旬の時期にはらこ飯を用意していないなんて、やる気が無いと言わざるを得ません。

それほど私たちは秋になると一斉にはらこ飯っ腹になるわけで、こればかりは正月に餅を食べるのと同様に、一種の食習慣や食文化と言えるのかもしれません。それに応えるのが、和食処の役割です。

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セットものは、その名も「りんどう御膳」。く~。泣かせるじゃありませんか。お通しを突っつきながら生ビールをグビグビやっている女性陣。お茶をすすりながら、はらこ飯をイメージし続ける私。早くこないかなぁ。はらこ飯っ腹の我慢も限界に達しそう。はたして花の膳謹製はらこ飯はいかに。

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お重の蓋を取ったカミさんから歓声があがるほど、今年の初はらこ飯は見事なものでした。ここ宮城に住んでいて、おそらくこれまで食べた回数は数知れず。それでも、少なくとも年に一度は食べたくなるはらこ飯。そんなはらこ飯のインパクトを左右するのは、「いくら」の量なのかもしれません。

その点、このはらこ飯は見た目の美しさも十分で、もちろん「いくら」が多いと口の中でのジューシー感が倍増します。私よりもはるかにはらこ飯通のカミさんいわく、炊き込みご飯も鮭の身もいくらも、その味付けと風味が実に美味しいと絶賛。今回ばかりは、お造りも天ぷらもはらこ飯の影に霞んでしまった感がありますが、はらこ飯を御膳でいただく幸せを感じられたことは間違いありません。

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茶碗蒸しの上に栗が乗せられたり、デザートにも栗のムースが用意されたりと、はらこ飯と同時に秋の味覚を味わうことができた花の膳の「りんどう御膳」。相変わらずゆっくりできる個室の座敷を案内され、デザートとコーヒーまで付いて2,200円であれば、十分に満足できる価値と言えそうです。

宮城県の亘理町が発祥の地で、その後に県内各地にも広まったとされるはらこ飯。できることなら今年中にもう一度、本場の亘理町ではらこ飯を味わいたい。そう思いながら、花の膳を後にしました。

お便り

  1. 宮古ガイド より:

    きゃーっ!美味しそうなはらこ飯ですね!仙台駅のお弁当を食べたことはありますが、お店ではらこ飯を食べたことはないです。
    是非発祥の亘理町で食べてみたいです。
    はらこ飯ってなんか季節があるんですか?

    • ジョン万乃助 ジョン万乃助 より:

      宮古ガイドさん、ご来店ありがとうございます。

      はらこ飯は、身にも脂がのって卵(いくら)もたっぷり抱えた秋鮭を使うことから、秋から初冬にかけてが旬となっています。
      なので、宮城でも食事処に出始めるのが10月あたりからでしょうかね。
      是非とも本場の亘理町で召し上がってみてください。マジで美味しいですよ~。

  2. 宮古ガイド より:

    なるほど。そうなんですね。
    いくらも鮭も年中スーパーで売ってるので、全く季節感がありませんでしたが、はらこ飯は秋鮭を使うというところがポイントなわけですね。なんとも贅沢なご馳走です。都会のいくらはつぶつぶがしぼんでいて全く新鮮でもなく美味しくもないので、いくらはもう何年も食べてないので、是非「ネクストいくらチャンス」は亘理町のはらこ飯にしたいと思います。

    • ジョン万乃助 ジョン万乃助 より:

      宮古ガイドさん、ご来店ありがとうございます。

      おっしゃる通りです。寿司店などでも年中食べられますから、「鮭の季節」とはピンときませんよね。
      はらこ飯だけは別で、亘理町などでも旬が終わると「ほっき飯」などに変わってしまいます。
      これは、県内産をはじめ北海道産の秋鮭を使って作ることで、日本の四季による「旬」となるようです。