花の膳 驚きの丸ごと一尾うな重

先週の土曜日は「土用の丑の日」。土曜に土用が重なった記憶はありませんが、それよりもなによりも、ここ100年ほど「うなぎ」を食べた記憶がありません。いやいや、少し落ち着いて思い出してみると、それほど長くは生きていないし、たしか数年前にファミマのうな重を食べたかもしれません。

いずれにしても、お店で食べたのは、閉店してしまった稲荷小路の「まるさんかくしかく」でいただいたうな丼ランチがおそらく最後でしょう。それほど「うなぎ」とは縁遠い食生活だったわけです。

そんな土用の土曜日。定期任務となっている義理の母の買い物のお手伝いを済ませたところで、彼女がこう切り出しました。今日は土用の丑の日だから、うなぎでも食べっか。きたきた~!きたよ~!

十中八九、そういう流れになりそうだという予感はあったわけですが、ずばり「うなぎ」を指名してくるという直球勝負に対し、実に久しぶりで耳にするその響きに少しだけ興奮してくるのでした。

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向かった先は、仙台市若林区南小泉にお店を構える「花の膳」。仙台市内に数店舗を展開する和食処で、義理の母のような年齢層でも安心な選択肢となっているわけです。もちろん献立に「うなぎ」は載っているはずですが、それよりも「土用の丑の日」に予約無しで入れるのかどうかが問題でした。

ところが、運良くも個室が一部屋だけ空いているとのこと。きたきた~!上手く事が運ぶのは実に気持ちがよいものです。これでほぼ間違いなく、100年ぶりとなる「うなぎ」が私の口に入るのです。

おまたせいたしました~。うな重をお持ちいたしました~。和服姿のスタッフさんがふすまを開け、義理の母と私の前にお膳を運んでくださったわけですが、そのうな重に目を移したとたん、目が点。

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すげっ・・。これ、うな重ですか?はい、うな重でございます。すっごいですね~。皆さまそうおっしゃいます~。いやいや、こりゃすごい。蒲焼きにされた丸ごと一尾のうなぎがお重から完全にはみ出しています。もちろん、少し小ぶりなうなぎとは言え、このパフォーマンスには驚かされました。

この大きさの一尾なら、おそらく三等分にすればちょうどお重にも収まりが良さそうですが、あえてお重の対角線上に一尾のまま横たわらせたうなぎの蒲焼き。手をつけることを遠慮してしまいます。

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脂もしっかり乗っており、身はふっくらとやわらかく焼き上げられた実に美味しいうなぎの蒲焼き。専門店はもちろんのこと、このような和食処でもうなぎを久しく食べていませんでしたが、このパフォーマンスで税別2,350円となれば決して高いとは思えず、ファミマのうな重に2千円弱を払うなら、いや牛丼店でうな丼を3回食べるなら、こちらのうな重のほうが満足度ははるかに高そうです。

▼ 調子をコイて追加したホヤの天ぷらは、揚げたてほやほやで文句無しの美味しさ。

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▼ カミさんは寿司のセット。寿司店顔負けでとても美味しかったそうです。

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▼ サービスで提供されたデザートとコーヒー。

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仙台では珍しく価格対満足度が高いと感じている「花の膳」。客席のほとんどが個室であるにもかかわらず、もちろんサービス料も無しの明朗会計。献立も見ずにお願いしてみたホヤの天ぷらは、後でレシートを確認したらなんと350円。丁寧な接客も以前よりバージョンアップしている雰囲気です。

実に100年ぶり、いや数年ぶりで美味しく「うなぎ」をいただいた「花の膳」の丸ごと一尾うな重。一度で数年分をいただいたような満腹感ですが、こちらのうな重は、丑の日に限らず常に丸ごと一尾なのだとか。「うなぎ」を食べた記憶が飛んでしまった際には、ここを訪れるのが良さそうです。