オヤジの小言 あるスパゲッティ店での一幕

実家のどこかに、「親父の小言」と書かれた手ぬぐいが掛けてあったことを思い出します。

「朝きげんよくしろ」や「人には腹を立てるな」など、たしか30前後の「小言(教え)」が右から左へ縦書きに記されたもの。記憶では、父親からそれを見ろと言われたことは無いにしても、何となく目には入っていたその手ぬぐい。すべての内容は忘れましたが、いちいちごもっともな教えでした。

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本日のお昼にスパゲッティを食べに行きました。このお店は2ヶ月ぶりのことです。前回にいただいたのはペスカトーレ。その昔に大和町のパイナップルステーションにあった「MOJO」というお店でよく食べたペスカトーレ。それを思い出して注文したわけですが、麺は少し茹で過ぎで、具の熱の入り方にも不自然さを感じ、残念ながらそれがブログのネタに登場することはなかったのであります。

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あの時の不安が少し頭をよぎりましが、1失点なら挽回できるでしょう。その思いで挑んだ本日。メニューが変わっていました。なるほど。どうやら上手い具合に全体的な値上げを施したようです。おそらく多くの食材の仕入れ価格が上がってきているのでしょう。こればかりは致し方なさそうです。

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ところが、問題はそこからでした。注文を取りに来たお兄さんの制服があまりも汚いのです。私だけがそう感じたのかと思ったのですが、彼が去った後に同行者の口からもそのことが指摘されました。調理服のような白いシャツの前面は相当に汚れ、背中側はズボンから外へ少しはみ出しています。

これには参りました。お店へ入った時に、ちょうど厨房の調理人から彼が何か指示を受けていた様子が見えたので、おそらくまだ新人なのだろうと思っていたわけですが、そうだとしても、彼以外の誰もそのことに気を配らないことが問題です。常に厨房へ立つ中華料理店の親方の調理服ならいざ知らず、客席に出来立ての料理を運ぶホール担当者の制服としては、汚れているにも程があります。

さらに、皿の内側へ親指をかける癖。サラダのボールにも、スパゲッティの皿にも、彼は自分の親指を少し入れて運ぶのです。器の内側にあたる領域は私たちのもの。お店の方々には是非とも器の外側を持っていただきたい。普通はそこまで見ませんが、彼は私たちから注目の的だったわけです。

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スパゲッティを食べ始めていると、隣のテーブルに小さな女の子を連れたママさんが座りました。

しばらくして注文の時がきたようです。え~と、マルゲリータを1つと・・ママさんがそう言いかけた時、例のお兄さんが言葉を遮りました。あ~平日のお昼はピザやってないんですよ~。はぁ?驚いたのは私で、思わず両方の鼻の穴からスパゲッティが飛び出るところでした。マジで?ママさんも驚いていますが、お兄さんは黙ったままで何も言いません。おそらく、お子さんがピザを食べたくてここに来られたのでしょう。ママさんもお子さんもガックリしていますが、お兄さんはダンマリ作戦。

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結局、その親子はスパゲッティを注文しましたが、ママさんがお子さんに謝っている様子は他人事ながらなぜか心苦しくなりました。スパゲッティを食べ終えた私はメニューを見直しましたが、平日の昼にピザを出せないとはどこにも書いておらず、入口や店頭にもその記載は無かったのであります。

普通のことが普通に成されていない現実。普通にさえやっていれば、今は評価される時代なのかもしれません。私のなかでこのお店は前回からの累積も含めて4失点となり、挽回するのは相当に難しい状況となってしまったようです。仮にこのお店へ来なくとも、もはや何の痛手もなさそうです。

「親父の小言」にもあるように、私は誰かに腹を立てているわけではありません。しかし、たまにはオヤジの小言も言いたくなるわけです。このようなことはめったにブログのネタにはしませんが、実はこの手のネタだけで一つのブログが出来上がるほど話題に事欠かない状況なのは、ある意味とても残念でなりません。「親父の小言」の手ぬぐいを、私も手に入れて見直したくなりました。