85歳の新春

新しい年を迎えると、「新春」や「迎春」という言葉がよく使われます。12月21日の「冬至」を過ぎてからは、確かに日が少しずつ長くなっていることに気が付きますが、寒さだけはまだまだ続いたまま。もうそろそろ寒さにも飽きてきましたが、新しい春はもう少し先なのでしょうか。

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新春を迎えた今月、家族のうち二人が誕生日を迎えました。一人はカミさんで、もう一人は実家の父です。カミさんは相変わらず粛々と歳を重ね続けていますが、父は今月で85歳。私たちが過ごす1年とは意味も重みも違うような気がしてならず、実に大したものであります。

今年は平成25年ですが、未だになにかと「昭和」で計算する場面が多いのも事実。今年を「昭和」に換算すると昭和88年ですので、昭和3年生まれの父は無事に85歳を迎えたということです。老人性難聴により徐々に耳が遠くなってきてはいますが、それ以外は健康そのもの。30歳時に運転免許を取得したという彼は、MT車ばかりを保有して55年目を迎えます。

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義母の取り計らいもあり、先日に4人でお祝いの食事会を楽しんでまいりました。予約していたお店は、一番町2丁目の「魚 陽月(さかな ひづき)」。金港堂の向かいで、「欧州屋」や以前は「オールドフィッシャーマン」があったビルの地下。義母が登場すると「寿司」となることが多く、この4人でも何度か経験しているのですが、たまには寿司以外の和食もいかがでしょうとなったわけであります。いただいたのは、親方渾身の一撃である「土鍋ごはん付き夜膳」。

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だいぶ前にカミさんが友人たちと訪れ、とても美味しかったという「魚 陽月」。おそらく40歳前後と思われる若き親方が創り出す料理は、店名通りに魚を中心とした実に手の込んだ和食群。この親方は本当に料理が好きなのだろう。そして、自分の料理を食べた人には心から美味しいと感じてもらいたいのだろう。箸を進めるにつれ、その純粋な気持ちが伝わってくるようでした。案の定、食べ終えてトイレに立った際、お料理はいかがでしたか?大丈夫でしたでしょうか?と、親方から連れの高齢者組を気遣う言葉。最近では珍しい配慮なのです。

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昭和3年生まれの父に、昭和4年生まれの義母。はたして私たちはあと30年以上もこんな元気に生きられるのだろうかと思いながら、新春の合同誕生会を人生の大先輩と共に過ごしました。当時、平均寿命より10歳も若くこの世を去った母。父には母の分まで上乗せで長生きしてもらうようお願いしているのですが、今のところはなんとか願いが通じているようです。来年も再来年も、そしてその先もずっと、彼らに新春が訪れることを願わずにはいられません。