とんかつ とん平

あれ!開いている!確かに白い暖簾が掛かっていたのをこの目で見ました。クルマで左折してしまった私はそのまま田町通り方面へ走り、荒町交差点を左折して再び五橋交差点から左折して一周すると、やっぱり開いています。もう開かないと思っていたお店「とんかつ とん平」です。

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五橋交差点から東北大の方へ西に入り、さらに学院大方面へ南に折れてすぐ右側にたたずむ一軒のとんかつ屋。なんともシブい昭和風の店構えが微妙に目立たないわけですが、実は30年ほど前に1~2度だけ訪れたことがあるはずです。ここから南へ伸びる道路沿いには木造の商店や雀荘などが並び建ち、学生時代にはよくプラプラしていたあたりなのでした。

機会があればまた食べたい。そう思っていたのですが、今年の春ぐらいにお店が閉まったままでなかなか開かなかったのです。前を通るたびに閉まっています。何となく変な様子。店頭を見てみると、「都合によりしばらく休みます」との張り紙が。しばらく、って、もしや・・。

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すっかり諦めかけていたところへ飛び込んできた白いのれん。わざわざ一周してでも立ち寄りたかったのは言うまでもありません。なんでもご主人が体調を崩され、今年の春から秋口まで半年もお店を閉められていたのだとか。それにしても良かった。再開されて良かった。当時の記憶すら残っていないまったくの通りすがりである私が、なぜか胸を撫で下ろすのでした。

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ランチタイムの「とんかつ定食」は680円。とは言え、その仕事は豚ロースの塊を切るところから始まります。じっくりと丁寧に調理をすすめるご主人。さすがに肉の厚さは1センチ程度ですが、ご飯と熱々の味噌汁、お新香に小鉢まで付いてこの価格を維持するのはご立派。柔らかい豚肉にみずみずしいキャベツ。久しぶりのとんかつを実に美味しくいただきました。

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店内は、厨房を囲むように用意されたL字型のカウンターのみ。まるで昭和の小料理屋にでも入ったような錯覚を覚えます。そこに座る来店客を一人でこなすご主人は、この道40年。関東で3年、そしてこの地ではすでに37年目なのだそうです。今やマンションが立ち並ぶこの通り沿い。10年ほど前に閉めたという銭湯「開福湯」と「とん平」あたりは、未だに風情を感じさせます。「左とん平」という俳優を思い出しますが、この状況だけは「右とん平」なのでしょう。