マックモーニング

確か社会人になって翌年あたりだったでしょうか。行ってきま~す!朝礼が終わるやいなや元気な声で会社を出てから向かった先は、青葉通り一番町角のマクドナルド。お目当てはもちろんマックモーニングでしたが、決して一人で食べに行くといった勝手な単独行動ではなく、しっかり後輩をも引き連れていくといった、真面目で責任感のある先輩営業マンだったのであります。

その頃で街の朝食と言えば、喫茶店で用意されるいわゆる「モーニングセット」が主流でした。バタートーストに茹で玉子、ミニサラダにコーヒーがセットされて3~400円前後。おそらくそれに対抗すべく発売されたのが、マクドナルドのモーニングだったのでしょう。「朝マック」という言葉はまだ使われていませんでしたので、単にマクドナルドのモーニングセットと呼んでいたはずです。

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当時からラインナップされていたかどうかは記憶に遠いのですが、マックのモーニングで私のお気に入りは断然「ホットケーキ」でした。森永の「ホットケーキの素」を使って焼いてもらい、生まれて初めてホットケーキを口にした子どもの頃。どの食べ物とも違う香りと食感に、特別なご馳走感が満載だったのです。難しい料理ではないはずなにの、密かに感じる特別感。マックのモーニングにホットケーキがラインナップされてから、それしか食べていないのです。

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ずいぶん久しぶりに、現代の「朝マック」を体験しました。マクドナルド自体が久々でしたが、モーニングメニューを味わったのは十数年ぶりかもしれません。頼んだのはもちろん「ホットケーキ」。これしかありません。店内のフライパンで一枚ずつ焼かれるわけではありませんので、カリッとした食感はエッグマックマフィンに敵うはずがありませんが、それでもいいんです。

その昔に親が手間をかけて焼いてくれた憧れのホットケーキが、ものの数分で目の前に提供される驚き。熱々でふわふわの状態に、ホイップバターとシロップをかけまわす喜び。しかし、久しぶりのあまり食べ方を忘れてしまったのでしょう。ホットケーキに切れ目を入れる前にバターを乗せてしまったせいで、貴重なバターはなだらかな斜面を徐々に滑走するはめに。

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昔は薄い発泡スチロール製の容器で出されていたような気がするマックのホットケーキ。ジャガイモをつぶしてから固めて揚げたサイドメニューは、私にとって必要ありません。たっぷりのシロップをかけたホットケーキを、ブラックのコーヒーと共に味わう幸せだけで十分。プラスチック製の小さなナイフとフォークが用意されるのも、チョッとした特別感が漂う雰囲気だったのです。

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昨今では「朝食」にチカラを入れる外食チェーンが増えていると聞きますが、マックモーニングも歴史感のある存在になったきたようです。しかし、出来ることなら昔の喫茶店で味わったスタンダードなモーニングセットで、茹で玉子の殻むき作業をゆっくりと楽しんでみたいものです。