ボツネタ 考えさせられた接客サービス

日々の生活のなかで、コレは興味深いと感じたことをブログのネタとしているわけですが、その一方で、写真は撮ったもののボツネタになってしまったものも少なくありません。今回は、本来であればとっくにブログの記事にしていたはずなのに、どうしても放置してしまったお話しを。

9月の中旬頃、とある食事処に友人と昼食を食べに出掛けました。そこは、夜に行った人たちから良い評判を聞いていたのです。若手の親方が繰り出す手作りの和食がとても美味しく、雰囲気もサービスも良かったと。ランチもやっているようだから、一度行ってみればというわけです。

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頼んだのは日替わりの「刺身膳」。880円という価格は、ランチタイムで最安値。それ以外は千円以上から2千円超のミニ懐石まで用意しています。出てきた「刺身膳」は評判通りの美味しさ。5種の新鮮な刺身に手作りの小鉢。一見ふつうに見えた味噌汁の具には、大きなアサリと自家製かまぼこ。ご飯の炊き具合も絶妙で、確かに腕が立つ料理人のようです。

食事を終えて、美味しさにはとても満足。しかし、何となく後味が心地良くありません。個人的にこの「後味」というものは意外に重要で、それがリピートするかどうかの分かれ目になるのです。

どうもこのお店のサービスが少々威圧的に感じるところがあり、それは友人もまったく同様に感じていたといいますから、なにも私だけがそのことに過敏だったということではなさそうです。

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私たち2人が4人掛けのテーブルに通された後、綺麗なワンピース姿のご年配の女性が1人で来店しました。いらっしゃいませ、カウンターへどうぞ!その女性はご案内を聞き逃したのか、私たちの隣の4人掛けテーブルに座ろうとしました。するとホール担当の女性スタッフが少し大きな声で「カウンターにお願いします!」と。ご年配の女性はビックリしたように、そそくさとカウンターの端から2番目に座りました。すると「すみません、一番端にお願いします!」とホール担当スタッフ。

おそらく、これは実に普通の光景なのかもしれません。お店側としては効率良く席を埋めたいのでしょうし、せっかく来店してくださるお客様を1人でもお返ししたくはないと。その後に会社員風の男女2名が来店し、隣の4人掛けテーブルに通されました。まさにお店の思惑通りだったのです。

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しかし、あのご年配の女性のことが気になりました。せっかく早めに来店されたのに2度も席を移動させられ、はたして美味しい食事の時間を楽しめたのだろうか。世のすべての食事処は、4人掛けのテーブルに1人では絶対に座らせてもらえないのだろうか。もしかしたらあの上品そうな女性は、お仲間で開催する予定の会合の場所選びに下見で来られた方なのかもしれません。

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実に難しい問題です。しかし、町の食堂ならいざ知らず、それなりのお店を自負するつもりなら、他とは違う心地良いサービスを用意しても良いだろうと思うのです。来店順にお好きな席をお選びいただく。いわゆる「早い者勝ち」というシステムは、「予約」の次に誰からも文句が出ないものです。

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私のように、1人の場合には間違いなくカウンターに座るというタイプも多いわけで、4人掛けのテーブルに1人で座る勇者など、それほど多いとは思えません。それほど多くないケースを排除せずに、どうしたらお客様に心地よく感じていただき、次もまたご来店いただけるのか。その日のことはもちろん、明日以降のことも意識しているお店が私たちにとって魅力的なのかもしれません。

厨房ではせっかく美味しいものを作っているのに、接客サービスが実に残念なお店は意外に少なくありません。お客目線で仕事が出来ないお店にお金を払うくらいなら、いっそのことセルフサービスの大衆食堂半田屋で食事を楽しむほうが、はるかに消費価値が高くて後味も良さそうです。