モア・スタッフ

数年前に、宮城県出身の狩野英孝氏がよく叫んでいた「スタッフ~!」という言葉を聞くだびに、かつて活躍したアメリカのフュージョン・バンドである「スタッフ」のことを思い出したのは私だけではないはずです。スタジオミュージシャンだったメンバーが集まって結成したという彼らの音楽は、当時のどのカテゴリーにも属さないような独自性を持ち、実に多くのファンを魅了しました。

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スタジオ・ミュージシャンということは、アーティストの楽曲レコーディングの際に演奏するという仕事ぶりですので、もちろんその腕前は超一流ということになるわけです。しかしながら、この「スタッフ」の音楽は誰か特定メンバーのテクニックを大々的に披露するといったやり方ではなく、あくまでも全員の個性をそれぞれが尊重しながら力まずにプレイしているのであります。

人間リズムマシーンと称されたスティーブ・ガッドには多くのドラマーが憧れ、エリック・ゲイルの泣けるギターや、リチャード・ティーが奏でるピアノのフレーズは、その後に現れたミュージシャンたちのお手本ともなりました。もちろん当時のアマチュア・バンドもこぞって彼らのプレイを真似しようとしたのですが、超一流のミュージシャンたちの音はそう簡単に真似できません。

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1枚目のアルバム「スタッフ」は誰か友人が買ったので、おそらく私はこの2枚目の「モア・スタッフ」を手に入れたのでしょう。1977年のことです。実に35年も前の音楽ということになるわけですが、あらためて聴いてもまったく古さを感じさせないどころか、逆に新鮮な感じさえするのです。残念ながら、メンバーの3人はすでにこの世を去りましたが、彼らの音楽は永遠に不滅です。