お食事処 まなつ

さて、宮古島滞在の4日目。帰る日の前日であります。この日は朝から雨降りで、梅雨の宮古島へ来て初めての雨となりました。少し遊びすぎたらしい弟は午前中だけどうしても仕事を片付けたいということになり、父と私の2人はビンゴゲームの達成に向けて出掛けようと。

四苦八苦しながら何とかいくつかの課題をクリアし、宿へ戻ったのは約束の時間を大幅に過ぎた13時頃。無事に仕事も終えたという弟に運転をまかせて、昼食処へ向かったのです。

目指すは、「お食事処 まなつ」。宮古島の北部、池間島へ向かう途中の半島部分に位置する古い食堂です。冬でも春でも店名は「まなつ」なのですが、これは住所ではなく、この付近の地名である「間那津」から付けられたようです。数年前に弟から初めて連れてこられて以来、父も私もこの食堂を一発で気に入ってしまいました。それからここは絶対に外せません。

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台風銀座とも言われる宮古島のなかで、これで大丈夫なのかと思わせる非コンクリート製の建物。手書きで「営業中」と書かれた木製の板を見ると、なぜだかホっとしてしまうのです。

このお店の隣りにはガイドブックなどにも載っているチョッとお洒落風なカフェがあり、ほとんどの観光客はそちらを目指します。この日もそちらの駐車場は一杯で、こちらは私たちだけ。

取っ手の無いとても開けにくい引き戸を左へ滑らせて中へ入ると、変わらぬ見慣れた店内が目に飛び込んできました。あぁ、これが「まなつ」。先客のお一人はおそらく地元で働く方で、新聞を読みながら宮古そばをすすっています。そうです。お隣りのカフェはほぼ観光客向けのお店であるのに対して、ここ「お食事処 まなつ」は基本的に地元人御用達食堂のようです。

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おそらくここで唯一の観光客向けメニューが伊勢海老定食。1,700円と高額ではありますが、伊勢海老の半身がドドーンと横たわるボリュームとエビ味噌たっぷりの仕上げぶりに、おそらく宮古島ではもっともコストパフォーマンスが高いだろうというのが大方の意見です。

何年か前にカミさんが会社の研修旅行で宮古島へ行った際、弟のお勧めでもあるこのお店に立ち寄ったそうです。7人で押し掛けて全員が伊勢海老定食を注文。いつも穏やかで無口なご主人は、目を丸くしながらニコニコして作っていたというのを聞いて微笑ましく思ったものです。

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弟は味噌汁を、私は焼き肉定食を、そして父はお約束の伊勢海老定食。今回に限って弟と私は食べたいものを注文しただけなのですが、どうやら父は一人で伊勢海老を食べることをためらっていたようです。ほら、あなたたちも少し食べなさいと箸を進めようとしません。

何やら気を遣わせてしまったようですが、弟は二日酔い気味で味噌汁を、私は激空腹気味で伊勢海老よりも焼き肉定食に魅力を感じたということなのでした。いずれにしても無事に「まなつ」参りを果たすことができたのですが、このお店は言葉では言い表せない魅力があります。

仲の良さそうなご夫婦で営んでいる「お食事処 まなつ」。見るからに温厚で実直そうなご主人は、常に白いかっぽう着と調理帽を身に着けています。お客に対してよけいなことを喋るわけではありませんが、帰る際の「ありがとうございました」には、言葉以上の気持ちが入っているような気がしてなりません。年に一度しかお邪魔できない食堂。その味以上の味があるのです。