TOYOTA 86

昨日に牛丼を一緒に食べた友人が、食後のお茶をすすりながらこう切り出しました。今日このあと、ちょっと時間はありますか?むむ?はは~ん。クルマだな?そういうことであれば喜んで付き合いますが、今回は何を?いやほら、アレですよ。え?何?86番です。

え~!86番?ウソでしょ?その線、アリ?いやいや、可能性がまったくゼロではないでしょうと、口元が緩む彼。私など足元にも及ばないクルマ好きの彼ですが、これまでもお互いに影響を感じ合いながらクルマ選びをしてきたという経緯があるのです。価値観が非常に似ていて方向性は同じなのですが、私と微妙に違う点は、彼はスポーツ派だということです。

スポーツ派と言っても、もちろんオシリを振りながら走り回るわけではなく、スポーツマインドを感じるクルマが好きなのでしょう。どちらかと言えば私もそうなのですが、一層その傾向が強い彼がもっとも欲しがっているクルマは、ロードスター。 それで「86」も見ておきたいのだと。

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クルマの名前を数字で表すのは、世界的に見れば珍しいことではなさそうです。80番や320番、190番や117番などが思い出されますが、過去に私が欲しかったクルマのなかにも、205番や306番、405番や940番などが記憶に残っています。そして今回は、トヨタの86番。

業界では話題になっているこの「トヨタ 86(ハチロク)」。例によってこのクルマの詳細をここで述べることは省略させていただきますが、トヨタから過去に出された「AE86」はまさに私たちの世代。彼も昔はトレノを所有していたはずですから、興味を持つのは当然の成り行きです。

さて、どこに置いてんの?いや、分かりません。ほいじゃ、あそこなら間違いないでしょう、ということで向かったのが、宮城野区苦竹に構える仙台トヨペット本社。おそるおそる店内に足を踏み入れると、ありましたありました。奥のスペースに専用のコーナーが設けられたその名も「AREA 86」。まさに、真っ赤なスポーツカー。うわっ、ピッカピカなのであります。当たり前か。

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白い手袋でも渡されるのかと思ったらそうでもなく、どうぞどうぞご自由にご覧下さいと、意外に敷居は低く設けられています。それにしても綺麗な赤です。まるで新車みたい。いやいや、新車ですから。少し興奮気味になる気持ちを抑えながら、舐めるように見て回るのです。

もし私がこのクルマを所有したら、どんなカーライフを送ることになるのだろうと勝手に妄想が始まるわけですが、その妄想劇場は第二幕あたりで幕引きするのです。やはり、私は今このクルマで仕事とプライベートを同時にこなすことは非常に難しく、かと言ってもちろん2台を所有する財力も無いわけで、仮にコレに乗るとしたら還暦を過ぎた頃に「赤色」をオーダーするのでしょう。

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仕事に使うという制限も無い友人は、さっそく試乗を申し入れました。ちょうど「SUGO」での走行試乗会から戻ってきたばかりの黒い「86」が用意され、後部座席に正座するお店のお姉さんと、助手席の私を乗せて出発したのです。残念ながらMT車の試乗車ではなく6速ATでしたが、助手席で感じる分にはATでも十分な動力性能と乗り心地で、これはこれでアリかと。

2,000ccで200馬力。そして車重も1,200kg台。ライトウェイトスポーツとは言えないまでも、よく頑張った出来栄えなのでしょう。ご存知のように、製造はスバル。水平対向エンジンには賛否両論があるようですが、こういったクルマが街を彩るのは大歓迎なのであります。

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私の場合にはもっと軽いクルマが欲しいので、これよりも約100万円安く買えるスイフトスポーツが頭をよぎるわけですが、はたして友人の目に「トヨタ 86」はどうのように映ったのでしょう。

くしくも、彼の現在の愛車は147番。仮に86番を選ぶことになると一気に61も数字がマイナスされてしまいます。さてさてどうなることやら。他人様のクルマ選びも、意外に楽しいものです。