遠刈田 丸一食堂

い~天気!こんな日はクルマに乗り込むのが楽しくなります。珍しく雲一つ無い泉ヶ岳の勇姿を一目見て、午前中に丸森町へと向かいました。仙台から村田町と大河原町を経由して角田市の西端を通り丸森町へ。南下するにつれて見えてくる今日の蔵王も、実に素晴らしい姿です。

お昼のお約束を無事に終え、さて真っ直ぐ仙台へ戻るのも惜しい晴天です。よし、ちょっと遠回りして帰ることにしましょう。丸森町へ向かう途中にも、おそらく30回ほどは目を向けた雲一つ無い宮城蔵王。大河原町から西へ進路を取り、誘われるように蔵王方面へと向かったのです。

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絶好のドライブ日和ですが、決してドライブをしているわけではなく、着実に仙台へと戻っているのであ~る。そんなことを自分に言い聞かせながら、蔵王町に入って遠刈田方面へ走っていた時のこと。あれ?今の食堂は、何となく見覚えがあるような・・。もしかして・・。

遠~い記憶が、カリカリカリカリとハードディスクのような音をたてて思い起こされます。

30年ほど前の学生時代、この近辺の、とあるペンションでアルバイトをしていたのです。館内の清掃や後片付け、さらにお客様をスキー場へとワンボックス車で送迎する役割です。その頃に、オーナーがたまに連れて行ってくださった小さな食堂がありました。肉うどんが最高に美味しくて、私がいつもごちそうになるのは決まって肉うどん。そこの肉うどんが、私の標準だったのです。

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一旦は通り過ぎたのですが、昼食もまだ取っていなかった私は、Uターンしてその食堂に突撃してみることにしました。店構え・・と呼べるほどの造りでもなく、なにせお店の名前がどこにも書いていません。唯一、道端の電柱に立て掛けられた立て看板には「丸一食堂」とだけ。

しかし看板をよく見ると、「うどん・ラーメン」と書いてあります。少し期待しつつ店内へ入ると、常連さんらしきお二人の先客がお食事中の様子。いらっしゃいませ!こんにちは~。私が30年前の店主のお顔を憶えているはずもなく、ゆっくり座りながら献立に目を向けると・・ここだ!

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実に数少ない献立の、しかも麺類の先頭に書いてあるのは「肉うどん そば」。まず間違いなさそうです。はやる気持ちを押さえて、肉うどんをお願いします!はいよ~。肉うどんね~。

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プチ感動の瞬間までは10分もかかりませんでした。コレです!間違いありません。おそらく手打ちと思われる、1cmもあろうかという極太麺。そのわりにはコシが無くて、ブツブツと切れる食感。そして豚バラ肉とネギ。これでなぜか本当に美味しい。あの遠い日、ペンションのオーナーからごちそうになったこの肉うどんは、私にとって今も日本で一番美味しい肉うどんだったのであります。

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食後にそのことをお話ししてみると、あららそうなのがい~と。やはりここで間違いありませんでした。40年まではいかないけれど、かれこれ30数年は続けていらっしゃるという丸一食堂。

秋保の「さいち」さんほどじゃないげど食べてみで~と、おかみさんがサービスで出してくださったおはぎ。いやいや、この大粒のあんこは、「さいち」さんより美味しいかもしれません。

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丸森町を出た時にはまったく頭にも無かった「丸一食堂」。あれから30年。これまでもこの前を何度も通っているはずですが、この店構えでは発見されるはずがありません。それが偶然にも目に入り、そして立ち寄って思い出の肉うどんに有りつけたという、とても不思議な今日の成り行き。

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もしかしたら、宮城蔵王が私を誘っていたように感じたのはこのことだったのでしょうか。すずらん峠に向かう途中でそう思い、クルマを停めて感謝を込めながら蔵王連峰をパチリ。そして川崎町へ出て釜房湖経由で仙台へ戻りましたが、なにも遠回りというのは悪いことではなさそうです。真っ直ぐ帰るより20kmは多く走ったようですが、それ以上に価値のある遠回りでした。