スパゲッティ バウワウ

かつて同名のハードロックバンドが活躍していましたが、今回の「バウワウ」はスパゲッティ店であります。創業が1978年、すなわち昭和53年とあります。ものがスパゲッティだけに、さすがに「昭和20年創業」などというのれんは見たことがありませんが、今年で34年目を迎えるということは同業種においても十分に長い営業期間で、老舗と言っても過言ではないでしょう。

今でこそ看板に「パスタ・カフェ・ドルチェ」などと洒落た記載がありますが、このお店がオープンした頃にはそんな言葉は世の中に存在せず、ここは仙台でも貴重なスパゲッティ店だったわけです。しかも、当時ではなかなか珍しいオリジナルのスパゲッティも用意するお店でした。

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仙台市ガス局ショールームの南側路地にお店を構える「バウワウ」。仙台の生まれである同い年の友人が言っていました。ここに初めて入ったのは高校生の時で、しかも生まれて初めて納豆のスパゲッティを食べたのがここであると。当時は個性的な喫茶店が数多く、しかも中央通りも含めると、この近辺は飲食系に困ることはないほどの激戦区だったのであります。

そのなかで、スパゲッティの専門店という立場で私たちの食欲を満たし続けてくれた「バウワウ」。私も高校3年生ぐらいから仙台の街をうろつき回り始めましたので、おそらくその頃に飛び込んだのかもしれません。まさに仙台のオリジナルスパゲッティのハシリとも言えるお店。

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その友人とは、お互い30年ぶりに一緒に食べに行きましょうか、と話しをしていたのですが、たまたま今日の午後に街へ出る用事があり、そのことを思い出して急にカミさんと立ち寄ってしまったのです。このことを「ヌケガケ」とも言いますが、ある意味「下見」とも言えるでしょう。

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白石市内に「たるたる」という喫茶店の名店があり、高校時代にはそこでかなりお世話になりました。オリジナルのスパゲッティも3種ほどが用意されており、それはそれは絶品だったのです。

しかし、仙台まで出てくるとさらに洗練されたオリジナルスパゲッティを味わうことができ、田舎者の私はいつもワクワクさせられるばかり。そのお店こそが、ここバウワウだったのです。

記憶していたよりも狭い店内は、4人テーブルが3卓と9人ほどが座れるカウンター。そのカウンター内の狭いキッチンで右に左にテキパキと動きまわる店主と奥様。良く言えばオープンキッチン風なのですが、どちらかと言えば昔の喫茶店の造りです。当時は何も考えず出されたスパゲッティに喰らい付いていましたが、このスペースで注文をこなすのは神業です。

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もちろん、ボンゴレやペスカトーレといった標準的なスパゲッティも用意されていますが、やはりここではどうしてもオリジナルものをいただいてしまうのです。カウンターの端には、30周年記念で撮られたと思われる集合写真が控えめに置かれていました。おそらく、数えきれないほどの人たちがここのスパゲッティを食べ、そしてこの味を愛し続けた証拠となりそうです。

店内には、当時の私たちと同じぐらいに見える若いお客様もちらほら。彼らがオヤジになるまで、何とか頑張って営業を続けていただきたいと願うのは無理な注文でしょうか。少なくとも、50周年記念の集合写真が飾られることを望んでいるのは、おそらく私だけではないでしょう。