あれから一年

昨日のお昼に、友人と蕎麦を食べに行きました。仙台市泉区実沢館屋敷にお店を構える「そば処 萬乃助」です。お店と言うよりも、住所にもあるとおり「屋敷」と呼んでもよさそうな一軒家のたたずまい。ちょうど北中山の北西あたりに位置する、山形蕎麦で有名なそば処です。

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迷った挙句に、結局は前回と同じ「冷たい肉そば」の大盛りを。向い合って久々に美味しいそばをすすり合っている相手は、昨年の3月10日に昼食を一緒に食べた友人です。その時には木町通にあるタイ料理レストラン「サバイ・サバイ」でランチをいただき、そのことは確かブログの記事にも書いたはずです。そして、その次の日に、東日本大震災が発生したのでした。

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実に美味しい冷たい肉そばをいただきながら、私たち二人の口からは不思議と大震災の話しは出てきませんでした。約一年前にも昼食を一緒に食べたという偶然に気がついたのは、帰宅してからのことです。あれから一年。何とも言えない、とても複雑な心境なのであります。

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新しい年が明けて今年になってからも、「被災地」や「復興」という言葉が、音や文字で耳や目に入ってこなかった日は一日たりともありませんでした。仙台の内陸地に住んでいて大きな被害を受けなかった私でも、あの時の恐怖感は今も忘れられません。そして、電気の復旧とともに知ることになる同じ仙台市や宮城県各地の悲惨な状況に、言葉を失ったのであります。

その後、全国全世界の方々からの支援や応援を頂戴しながら、徐々にではありますが復興へと向けて歩み始めた被災地。あれから一年が経とうとして、もともと大した被害など受けていない私などは精神的なダメージもすっかり取り払われていたのですが、実は意外に弱かったようです。

先週末あたりからでしょうか。何となく心がザワザワし始める感じがしたのですが、おそらく小風邪をひいたせいだろうと思っていました。今週になり、テレビやラジオなどで「大震災から一年」という言葉が頻繁に聞かれるようになると、心のザワザワ感が激しさを増したのです。

まるで、自分がまったく自覚できていなかった深層心理のなかに、小石が放り込まれるような感覚です。それがもたらした不思議な自己嫌悪感。そして何とも言い表せない脱力感。毎日の決められた仕事はこなしますが、趣味やブログへ向かう気力は失っていたのであります。

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今朝起きたてみたら激しい偏頭痛。昨日あたりから咳は止まり、小風邪の症状は徐々に良くなってきたはずなのに、今頃になって急に頭痛とはどういうことでしょう。まったく情けないヘタレな自分に嫌気が差して、鎮痛剤を飲んで横になりながら観た東北放送のテレビドラマ。

「明日をあきらめない・・・がれきの中の新聞社~河北新報のいちばん長い日~」。当時の事実に基づいたドキュメンタリードラマでしたが、これを観ながら数ヶ月ぶりで大いに泣きました。すると実に不思議なことなのですが、いつの間にか偏頭痛がすっきり取れたのです。

体調を自分で制御できない不思議な一週間を過ごし、明日であれから一年を迎えます。自分でさえこうなのだから、ご家族やご自宅を失った方々はいったいどんなお気持なのだろうと思うと、また胸が苦しくなります。

今日から明日と、テレビでも特別番組が多く放映され、各地では追悼式典も開かれるようです。二度と思い出したくない恐怖と悲しみ。そして決して忘れてはならない感動と感謝。「被災地」と言われる宮城県の一員である私でも、すべての人たちに真の心の復興が訪れるまで、同じ気持ちを失うことのないように過ごしていきたいと思うのです。