天使の贈りもの ホイットニー・ヒューストン

米国の著名な女性シンガーであるホイットニー・ヒューストンが急死したとニュースは、瞬く間に全世界を駆け巡りました。報道によると詳しい死因はまだ不確定だとのことですが、おそらく彼女自身が身体をあまり大切にしないできたことに起因していることは間違いありません。

プロのシンガーとして、コンディションを自ら一定に保てなかったことは恥ずべきことですが、だからといってこれまで彼女が残した功績が否定されるものでもなく、その能力がこれ以上発揮できなくなったことは、ただただ残念に感じるのです。実に貴重な女性の歌手だったからです。

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実のところ、デビュー当時からのファンだったわけではなく、積極的に彼女の声を聴くようになったのは90年代の後半になってからです。ケビン・コスナーと共演した1992年の「ボディガード」はもちろん観ましたが、その映画で流れた「I Will Always Love You」はどちらかと言えばポップ系の楽曲に聞こえたためか、実に歌の上手な女性だなぁ、という程度の印象でした。

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ところが、彼女に対する印象が一変したのは1996年に観た「天使の贈りもの」という一本の映画。

なるほど、これが彼女の本来あるべき姿なんだと。幼少の頃から聖歌隊で声を磨いてきたという彼女の歌声、そしてゴスペルの楽曲。私のツボにガッツリとハマったのでした。

そして、映画を観終わってすぐに購入したサウンドトラック盤。「The Preacher’s Wife」という原題のもので、これは実に貴重な彼女のゴスペルアルバムと言っても良いでしょう。

特に「Georgia Mass Choir」や「Shirley Caesar」との共演は圧巻で、活き活きとした彼女のエネルギーがストレートに表現されています。まさに聖歌隊出身の彼女の本領が十二分に発揮されたアルバムで、約15年前に購入したCDですが今でも12月には毎年聴いているほどです。

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映画自体も、なかなか心に染みる作品。オンボロ教会を再建すべく奮闘する、人望の厚い牧師とその妻(ホイットニー・ヒューストン)。そしてそこに現れる天使(デンゼル・ワシントン)が織り成すストーリーなのですが、なんと言ってもデンゼル・ワシントンのカッチョ良さがピカイチ。

女性で48歳と言えば、これからますます円熟期に差し掛かる年齢。今後の活躍も十分に期待できただけに、もはや彼女の新しいパフォーマンスが観られなくなってしまったことは、実に残念です。

もしかしたら、彼女自身が「天使の贈りもの」だったのでしょうか・・。