接客マニュアルとネギの効能

ネギラーメンや南蛮ラーメンといった一品を看板商品にしている「ラーメンショップ」。以前はずいぶん目にしたのですが、ここ何年かの間に店舗数がめっきり減ってしまったようで、なかなか食べる機会にも恵まれませんでした。そんななか、今日の午後にとある国道を走っていたら一軒のラーメンショップが。おぉ!ちょうど昼飯前ですので、立ち寄ってみましょう。

もしかしたら、10年以上は食べていないかもしれない「ラーメンショップ」のネギラーメンですから、久しぶりなんてものじゃありません。席に着いてすぐに注文してからふと正面に目を向けると「ネギの効能」と書いた一枚のPOPが貼ってあります。なになに?「エネルギーの元としてやる気をおこさせる偉大なる作用をもっている」と?よっしゃ~!やる気を分けてください!

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それにしても、なかなかお冷を持ってきてくださいません。店内には私を含めてお客様が3人で、迎えるお店側の人員も3人。親方らしきおやっさんはラーメンを作り、アルバイト風の若いお姉さん方2人は、客席側を見据えて微動だにせず立っています。

あ・・セルフサービスなのか。案の定、ウォーターサーバーには「お冷はセルフサービスです」としっかり書いてありました。なるほど。そういうことでしたか。

さっそく自分のお冷を注いで席に着きながら、この光景になんだかおかしくなってしまいました。

お冷のセルフサービスに異論を唱えるつもりはありません。おそらく、昼のピーク時などで一気に満席になった場合には、お冷だけでも客側が自分でやってくれれば、ずいぶん助かるはずです。

しかし、それはケースバイケースでよろしいんじゃないのかなぁと。私のラーメンが出来上がるまで、お姉さんが2人揃って仁王立ちしているぐらいなら、なにもお冷を運んでくださってもいいだろうと思うわけです。それは、私にとってもお店にとっても間違いなく良いことだろうと。

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先日に牛丼を食べに行った時のことです。店内には私を含めてお客様が6人。お店側は厨房に男の子が1人、客席担当で女の子が2人。3人とも非常に若いアルバイトさんです。私がカウンターで牛丼にがっついていると、タクシーの乗務員さんがお店へ入ってきて、カウンターに陣取りました。お茶を出されてメニューを眺めています。そして15秒で顔を上げました。

そのお客様は、顔を上げて真っ直ぐと正面奥の壁を見続けていますが、アルバイトの女の子はそのお客様の前を何度も行き来しているにもかかわらず、なかなか注文を伺いません。なぜならば、そのお店で注文をする際には、電子呼び鈴を押して注文が決まったことを知らせる必要があるからです。

そのお客様が、呼び鈴の存在を知っていたかどうかは分かりません。アルバイトの女の子は、呼び鈴が鳴らないから注文を伺わない。おそらく、接客マニュアル通りなのでしょう。にらみ合いです。

やがてそのお客様はぶ然とした表情で呼び鈴を鳴らし、バイトの子はやっと注文を受けました。

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こういったシーンは意外に多く見られます。接客マニュアル通りに仕事が出来るようになることは素晴らしい成長ですが、その先をどうするかで、働く人やそのお店の価値が高まるような気がします。

本来は、私たちお客様側がお店で働く人たちを観察する以上に、お店側の人たちが一人一人のお客様をよく観察していただきたいところですが、なかなかそれは難しいことなのかもしれません。

お店側にやる気をおこさせる偉大なる作用も、ネギの効能に頼るしかなさそうです。