春日町 八洲軒

青葉区北山の方向から2車線に広がった道路を南へ向かうと、右手に東北大学病院が見え、48号線と交わる交差点にぶつかります。一見すると「T字路」のような雰囲気をそのまま直進すると、一方通行の細い路地へ入ることとなり、木町通や春日町の古い商店街を抜けて定禅寺通りへと出るのですが、この通り沿いには昭和の香り漂うお店が未だ点在しています。

意外と頻繁に通るこの通りで、以前からどうしても気になっていたお店がありました。そのくたびれた店構えやテント、そして暖簾。一切店内をのぞくことが不可能なそのお店の造りに、これは一か八か飛び込むしかあるまいと思っていたのですが、ようやく本日にその機会が訪れたのです。

R0020776

住所は「春日町」になるようですが、大学病院方向から入る一方通行の右側にポツンと佇む「八洲軒(はつしゅうけん)」。初めてのお店でしかも店内が見えないとなると、飲み屋に限らず入るのには少々勇気がいるものですが、暖簾には「中華そば」と書いてありますので、いきなり隣に美女が座って勝手に中華そばを食べ始め、お会計は2万円ね、という事はなさそうです。

意を決して暖簾をくぐり、サッシの引き戸を開けると、そこは想像通りのこじんまりとした昭和食堂でした。小さなテーブルが4つ、そして全部で9つの椅子が用意されています。店内には一つのテーブルにお二人様が、すでに食事を終えてご歓談中でしたが、ほどなくお帰りに。さて、何をいただきましょうか。ここはやはり、暖簾にも掲げてある「ラーメン400」を。

R0020777

R0020778

R0020784

さぞかし年季の入ったいぶし銀の老夫婦が出てくるものと想像していましたが、私よりも一回りだけ先輩だとおっしゃるご主人は意外にもゆるキャラ風。それは無造作に貼り付けられた手書きのメニューを拝見しても、そのユルさ具合が見て取れます。しかしながら、このお店はなんと創業50年以上でいらっしゃるとのこと。亡くなられた先代の後を継いで、しばらくはお母様と切り盛りされていたそうですが、お母様も引退されて今はほとんど一人で頑張られているのだそうです。

R0020785

出前もやられるのですか?いやいや、一人だから出来ないよ~。え?だって店頭にバイクがありますよ?いやいや、アレは「ダミー」だから、と・・。半世紀以上続く老舗感をまったく感じさせない陽気でお茶目なご主人なのですが、残念ながら3代目はいないんだとおっしゃりながら、先代が築かれて今はご自身が継がれた城を、責任を持って守っておられます。

R0020788

いただいた「ラーメン400」はスープのコクも十分に感じられ、意外に麺も固めで私好み。この400は仙台市の真ん中でいただく番手としては破格のお値段ですが、次は是非とも「タンメン500」か「五目焼ソバ600」あたりも味わってみたいと思いながらお店を後にしました。