ごぼうの気持ち

突然ですが、「ごぼう」の気持ちになったことはありますか?

どうせ、オレなんか・・ オレなんか・・。

どうせ、ごぼうだもん・・。

だいこん兄さんのように美白でもないし、にんじん姉さんのように、あちこち華やかな世界で活躍できるわけでもないしさ・・。

なんだかなぁ・・。あ~ぁ。結局は、きんぴらごぼうの時だけじゃん、もてはやされるのって。

こうしてスーパーで整列させられていても、誰もこっち向いてくんないし・・。

オレなんか・・。

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いやいや、そんなことはありませんよ、ごぼう君。何やらいろいろと考え中で忙しそうなところを大変申し訳ないのですが、今晩にでも私たちに是非ともチカラを貸してはもらえませんかね。

残念ながら主役を望んでいる「きんぴらごぼう」ではないのですが、君が想像している以上に私たちは君のことを必要としているんだよ。おそらく、君無しでは考えられない、と言ってもいい。

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最近は少し涼しくなってきたので、今晩は温かい汁物でもと考えてね。ちょうど美味しそうな「鶏つみれ」が売っていたので、ごぼう君にも一緒に参加して欲しいんだよ。もちろん本当さ。

え?他の参加者?あとはネギさんと豆腐さんだ。もしかしたら君は自覚していないのかもしれないけれど、君の香りとダシは汁物を格段に美味しくするんだよ。もし他の参加者が気に入らないのなら言ってくれ。今回はできればネギさんを外したくないが、豆腐さんよりは君の方が必要なんだよ。

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こんなやり取りの末、何とかごぼう君のチカラを借りて「鶏つみれ汁」が出来上がったのであります。確かに「根菜」のなかでも地味な存在なのかもしれませんが、「ごぼう」がこの世から消えてしまったら実は大変で、他に代役が立たない、意外にも貴重な存在なのかもしれません。

当初の予定通り豆腐とネギの参加も認めてもらい、今はお椀の中で皆と仲良く楽しそうにくつろいでいるごぼう君。鶏とごぼうのダシが絶妙な味噌仕立ての鶏つみれ汁は、手前味噌ながら実に美味しくいただきました。もちろん、機嫌を直して参加してくれたごぼう君のおかげです。