ハンバーグ 支倉

お店の歴史は「人」の歴史と言えるのかもしれません。この「ハンバーグ支倉」を営むご主人にも、40年以上もの長きに渡りフライパンを握ってこられた経験と歴史を感じざるを得ません。

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仙台でハンバーグの名店と言えば、このお店をご存知の方も多いでしょう。以前は片平付近(一番町一丁目)に長い間お店を構えていたのですが、落合に移転して3年が過ぎたようです。

やはりどうしても以前の場所でのイメージが強過ぎて、現在の住宅街での営業にはまだピンとこない一人なのですが、ハンバーグ自体は益々熟練度が上がってきているように感じます。

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先日、すべてのお客様が引けてから、偶然にもご主人に少しお話しを伺う機会を得たのです。来年に還暦を迎えられるご主人は、洋食の厨房を経験されてからなんと20代すぐに独立されたのだそうで、もはや38年目なのだそうです。まったく存じ上げなかったのですが、最初の10年は木町通にお店を構えられ、その後に長く営業された一番町へ移られたそうです。

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さすが長く続けていらっしゃるだけあって、この業界の情報はCIAの長官並みであります。当時一番町界隈にあった様々なお店、例えば「プランタン」や「とんかつ大町」「ひらつか」など、残念ながら消えてしまったお店やその原因についてまで、実に興味深いお話しを伺いました。

当時その時代でリアルに生活をされていた先輩方にお話しをお聞きできるのは、私自身の記憶の検証にも繋がり、また過去についての新たな発見という興味深い情報整理にもなるのです。

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相変わらずキレイに成形された厚めのハンバーグは、見た目と裏腹に、どうしたらこのように焼けるのだろうと思うくらい実にやわらかいのです。もちろんメニューは今も分量別のハンバーグ一本なのですが、ハンバーグ以上に難しいのがデミグラスソースなのではないでしょうか。

そのことを伺ってみたところ、ご主人も奥様も少し嬉しそうでした。ただ単にハンバーグを焼いているだけだと思われがちなのだそうですが、このデミソースはもちろん一から手作りで、絶対に切らすことが出来ないので常に作り続けていなければならないそうで、夜はずっと練炭にかけて火を落とすことが出来ないのだそうです。いやはや、そこまでとは・・恐れ入りました。

文句無しに美味しいハンバーグに加えて、さらに美味しいお話しで大変満足させていただきましたが、混雑していない時にでもまたこの続きを味わいたいと思いながらお店を後にしたのです。帰りがけにはいつも通り、「どうもね~!」と奥様の声が私の背中に優しく降り注がれました。