仙台弁 「わげすたづ」

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さて、今回から勝手に登場いたします新シリーズ「のほほん仙台弁」。私がこれまで聞いてきた仙台弁や宮城弁の中から、選りすぐりの方言をあらためて検証し直してみたいと思います。

第一回目の今日は『 わげすたづ 』 。例えばこのようなケースに使われます。

場の設定としては、ある日の昼下がりにお婆ちゃんが一人で留守番をしているところへ一人の営業マンがやってきて、最近自社の光回線がこの一帯に設置されたのでブロードバンド環境でのインターネットの導入をお勧めするのですが、それに対してお婆ちゃんはこう言うのです。

「 あら~なんだい~。おら、ほいなごどゆわれでもさっぱすわがんねなや~。わげすたづいっとじにでもまだちてけらいん。 」

この営業マンは、相手が年老いたお婆ちゃんにもかかわらず、少しもひるむことなく「光回線」や「インターネット」「ブロードバンド」といった専門用語をカタカナ交じりで使ってしまいました。

お婆ちゃんはそれらの言葉を聞いた瞬間に自分では無理だと判断し、とにかく帰って欲しいという意味を込めて出たであろう返答であります。おそらくお婆ちゃんは「ズロースバンド」をご存知でも、「ブロードバンド」は初耳だったに違いありません。ちなみにこれを翻訳するとこうなるでしょう。

「 あら~ なんでしょう~ 私はそのようなことを言われてもさっぱりわからないわ。若い人たちがいる時にでもまた来てくださいな。」

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ご存知のとおり、『わげすたづ』は「若い人たち」という意味です。「わがいひとだづ」「わげえしとだづ」「わげすとだづ」「わげすたづ」とだんだん変化していったのだろうと思われます。

この方言が県北、仙台、県南のどの地域でよく使われるのかは知りませんが、おそらく宮城県民であれば意味は通じるのでしょう。ただしこの「わげすたづ」の使い方には特徴があります。

例えば、高校生が小学生を見て「わげすたづ」とは言いませんし、大人たちが幼稚園児のことを「わげすたづ」とは表現しないのです。つまり、「若い人たち」の一定ゾーンを指すのです。

多くの場合、すでに第一線を退いたご隠居さん方が現役世代を呼ぶ場合に使ったり、同居しているお爺ちゃんお婆ちゃんが息子さん世代をそう呼んだり、つまり、すでに働き終えた年老いた世代の方々が次の働く世代の人たちを「わげすたづ」と呼ぶケースが最も当てはまりそうです。

60代や70代の方々から「わげすたづ」と呼ばれるのは40代や50代のゾーンですから実はちっとも若くはないのですが、この言葉には、今までは我々が頑張ってきたのだからこれからは君たちが一生懸命働いて頑張りなさいという誇りと激励が隠されているのかもしれません。