今日は母の誕生日であります。生きていれば79歳ですが、残念ながら76歳で止まったまま。
よく高齢者の方が「歳をとったら誕生日なんか」とか「もう誕生日なんてこなくていい」などと恥ずかしさ紛れにおっしゃる方もいますが、誕生日はその人がこの世に生を受けた記念日ですし、年齢が止まってしまったらお話しになりません。どうか胸を張ってくださいますように。
さて、母をもてなす代わりに父を食事に誘い出すことにした私たちは、かねてから父が食べたがっていた「オムライス」のお店を選ぶことにしました。洋食屋さんのオムライスであります。
市役所前市民広場の南側あたりにあったお店や、１４１ビルの地下にあったお店が無くなってしまって以来、オムライスが出てくる昔ながらの洋食屋さんを探すのは簡単ではなくなりました。しかし、ここ南中山の「カープル」は、未だに健在の老舗洋食屋さんと言ってもよいのでしょう。
聞くところによると創業30年なのだそうで、建物も店内もまさに「洋食屋」といった雰囲気です。私たちはたまにお邪魔するのですが、おそらく父は初めてだろうと連れて来たところ、良い意味で昔風のインテリアやメニュー構成に懐かしさを覚えたのか、目を細めて見入っていました。
父は宣言通りにオムライスを。テーブルに運ばれてからプルプルのオムレツにナイフを入れてくれるサービス付きで、トロトロの卵が見事にチキンライスをすべて覆ってしまいます。
私たちはそれぞれエッグハンバーグとチーズハンバーグを。この三品ならどれが当たっても文句無しと言いますか、お腹さえ丈夫であればすべて食べてみたい衝動に駆られるのでした。
昨今ではなかなかお目にかかれない、きちんと面取りされた自家製のフライドポテトやにんじんのグラッセなど、さすが付け合せに関しても手抜きは無しで、チェーン店との違いは歴然です。結局は皆で少しずつお互いのものを味見することになってしまいましたが、どれもすべてが美味しく、私たちも久々に手作りのハンバーグを楽しませていただくことになったのでした。
幸いにも父のイメージ通りのお店とオムライスだったらしく、美味しかったととても喜んでくれたのはなりよりでした。そして、本日が誕生記念日だった主役の亡き母は？大丈夫です。父が着ていたシャツのポケットには、いつも通り母の写真が入っていたはずですから。
